150万人の大規模研究で判明!清涼飲料水の恐ろしい健康リスクとペットボトル症候群の恐怖


清涼飲料水の健康リスク
日常的な摂取がもたらす健康への警鐘:科学的根拠に基づく包括的分析
結論:清涼飲料水は本当に体に悪いのか?
科学的結論
糖分の多い清涼飲料水の日常的な摂取は、確実に健康に悪影響を及ぼします。150万人を対象とした大規模研究では、肥満リスク1.17倍、2型糖尿病リスク1.20倍、心血管疾患リスクの有意な上昇が確認されています。
影響は多岐にわたります。慢性疾患だけでなく、男女の生殖能力低下、特定のがんリスク増加、急性の「ペットボトル症候群」まで、科学的エビデンスが蓄積されています。予防策は明確で実行可能です:水や無糖飲料を選ぶことです。
はじめに:清涼飲料水の日常的な摂取に潜む健康リスク
コーラや果汁飲料、エナジードリンクといった糖分を多く含む清涼飲料水は、手軽な水分補給として広く普及しています。しかし、これらの飲料は「エンプティカロリー」(栄養価が低いのに高カロリー)として知られ、日常的な摂取は様々な健康リスクを引き起こす可能性があります。
対象となる飲料
炭酸飲料、果汁飲料(100%果汁含む)、スポーツドリンク、エナジードリンク、加糖コーヒー・紅茶飲料など、添加糖類を含む飲料全般を指します。
清涼飲料水の過剰摂取が引き起こす多岐にわたる慢性的健康被害
清涼飲料水の日常的な過剰摂取は、目に見えない形で徐々に健康を蝕み、様々な慢性疾患の発症リスクを高めることが数多くの研究で示されています。特に、肥満、2型糖尿病、心血管疾患といった生活習慣病との関連は深刻です。
肥満、2型糖尿病、心血管疾患への深刻な影響
(150万人研究)
(最も強いエビデンス)
清涼飲料水による健康被害のメカニズム
肥満
清涼飲料水は、満腹感を得にくいまま多量のカロリーを摂取することになりやすく、体重増加や肥満の主要な原因の一つとされています。150万人を対象としたメタアナリシスでは、肥満リスクを1.17倍に増加させることが示されました。
2型糖尿病
日本人女性を対象とした多目的コホート研究(JPHC研究)では、清涼飲料水の摂取量が多いほど、10年間の追跡期間中に糖尿病を発症するリスクが高いことが確認されました。150万人規模のメタアナリシスでは、2型糖尿病の発症リスクが1.20倍に増加することが確認されています。
心血管疾患
日常的な清涼飲料水の摂取は、冠動脈性心疾患のリスクが1.15倍、脳卒中のリスクが1.10倍に増加することが示されました。清涼飲料水は、世界で年間120万人の新規心血管疾患発症に寄与していると推定されています。
疾患名 | 主要な指標/リスク上昇 | 備考 |
---|---|---|
肥満 | 相対リスク 1.17倍 | 150万人対象メタアナリシス |
2型糖尿病 | 相対リスク 1.20倍 | 日本人女性では摂取量が多いほど高リスク |
冠動脈性心疾患 | 相対リスク 1.15倍 | 世界で年間120万人の新規発症に寄与 |
脳卒中 | 相対リスク 1.10倍 | 心血管疾患の一環として |
慢性腎臓病(CKD)
Rebholz氏らがアフリカ系アメリカ人成人3,003人を対象に行った研究では、炭酸飲料や加糖果汁飲料の摂取量が多いほど、CKD発症リスクが有意に高いことが示されました。
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)
清涼飲料水に多く含まれる果糖の過剰摂取は、主に肝臓で代謝されます。この過程で、中性脂肪の新規合成が亢進し、NAFLDの発症・進行に寄与します。
高尿酸血症と痛風
果糖の代謝過程で尿酸の産生が亢進することが知られています。血中尿酸値の上昇(高尿酸血症)は痛風の主な原因です。
その他の健康問題
虫歯(う蝕)
清涼飲料水の頻繁な摂取は、その高い糖分含有量により口腔内細菌の格好の栄養源となり、細菌が産生する酸が歯のエナメル質を侵食するため、虫歯の確立されたリスク因子です。米国小児科学会は、しばしば糖分を多く含むスポーツドリンクの過剰摂取も虫歯の原因となり得ると指摘しています。
疾患間の相互関係:複合的なリスク
肥満、2型糖尿病、心血管疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、高尿酸血症のリスクは、それぞれ独立して存在するわけではありません。これらはしばしば併発し、糖代謝異常という共通の根底メカニズムを共有しています。
清涼飲料水からの過剰な糖分(特に果糖)摂取は、肝臓での脂肪合成を促進し、NAFLDの一因となります。この肝臓への脂肪蓄積は、2型糖尿病の主要な特徴であるインスリン抵抗性を悪化させる可能性があります。インスリン抵抗性と肥満は、心血管疾患の主要な危険因子です。また、果糖の代謝は尿酸値を上昇させ、痛風や腎臓への負担増大につながる可能性があります。
このように、清涼飲料水は一連の代謝機能障害を引き起こす引き金となり得ます。したがって、清涼飲料水の摂取を控えることは、単一の疾患予防に留まらず、これらの関連する慢性疾患群全体に対する広範な予防効果をもたらす可能性を示唆しています。
生殖能力への警鐘:清涼飲料水と不妊リスク
清涼飲料水の日常的な摂取は、生活習慣病リスクだけでなく、男女双方の生殖能力にも悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。妊娠を計画しているカップルにとって、見過ごせない問題です。
男性への影響:精液所見の低下
北米の妊娠準備中の男女を対象としたコホート研究(PRESTO研究)では、690名の男性を対象にSSB摂取と精液所見の関連が調査されました。
研究結果:糖分入り清涼飲料水を週7回以上摂取する男性では、非摂取群と比較して以下の影響が確認されました:
- 総精子数(TSC)が22%低下
- 総運動精子数(TMSC)が25%低下
- 特にBMI25以上の男性でより顕著な影響
女性への影響:受胎能の低下
ボストン大学公衆衛生大学院が3,828人の女性とそのパートナーを対象に行った研究結果:
研究結果:清涼飲料水の摂取により以下の影響が確認されました:
- 炭酸飲料1日1本以上で女性の月間受胎確率が25%低下
- 男女とも摂取により月間受胎確率が20%低下
- 週7杯以上の摂取で周期あたりの妊娠率が19%低下
性別 | 影響を受ける指標 | 主要な知見 |
---|---|---|
男性 | 精子濃度 | 高摂取群で低い傾向 |
総精子数 (TSC) | 高摂取群(週7回以上)で22%低い | |
総運動精子数 (TMSC) | 高摂取群(週7回以上)で25%低い | |
パートナーの月間受胎確率 | 1日1本以上の炭酸飲料摂取で33%低い | |
女性 | 月間受胎確率 | 1日1本以上の炭酸飲料摂取で25%低い |
周期あたりの妊娠率 | 週7杯以上の摂取で19%低い |
共通の懸念:肥満とホルモンバランスの乱れ
清涼飲料水の日常的な摂取は体重増加や肥満に繋がりやすく、肥満は男女双方の不妊の既知のリスク因子です。また、一部の研究では、人工甘味料がホルモンバランスを乱す可能性が示唆されています。
カップルへの複合的影響
清涼飲料水は、一方のパートナーだけでなく、男女双方の生殖健康に負の影響を及ぼすことが研究で示されており、カップルが妊娠する上での困難を増大させる可能性があります。男性の生殖能力は精液所見を通じて影響を受け、女性の生殖能力は受胎確率の低下や月経周期の乱れの可能性を通じて影響を受けます。
カップルの両方が清涼飲料水を摂取する場合、それぞれの生殖能力への負の影響が相乗的に作用し、毎月の妊娠の可能性を全体としてさらに低下させる可能性があります。このため、不妊に悩むカップルや妊娠を計画しているカップルに対しては、清涼飲料水の摂取に関するアドバイスを男女双方に行うべきです。
清涼飲料水の摂取を減らす、あるいは止めることは、比較的簡単な生活習慣の改善でありながら、潜在的に大きな利益をもたらす可能性があります。
がんリスクとの関連性:科学的エビデンスに基づく考察
清涼飲料水の過剰摂取とがんリスクとの関連性についても、近年注目が集まっています。特に大規模なコホート研究から、懸念すべき結果が報告されています。
フランス NutriNet-Santé コホート研究の知見
フランスで実施された大規模前向きコホート研究であるNutriNet-Santé研究(成人10万人以上を対象、追跡期間中央値5年)は、糖分入り飲料(100%果汁飲料を含む)の摂取とがんリスクとの関連を調査しました。
- 全がんリスク:糖分入り飲料の摂取量が1日100mL増加するごとに、全がんリスクが18%上昇
- 乳がんリスク:乳がん(693症例)との間に有意な関連が認められ、糖分入り飲料の摂取量が1日100mL増加するごとに乳がんリスクが22%上昇
- 100%果汁飲料:驚くべきことに、100%果汁飲料の摂取も全がんリスクの上昇と関連しており、1日100mLの摂取量増加ごとにリスクが12%上昇
- 人工甘味料入り飲料:一方、人工甘味料入り飲料は、この研究ではがんリスクの上昇とは関連していませんでした
飲料の種類 | がんの種類 | リスクとの関連(100mL/日増加あたり) |
---|---|---|
糖分入り飲料(全般) | 全がん | 18%上昇 |
糖分入り飲料(全般) | 乳がん | 22%上昇 |
100%果汁飲料 | 全がん | 12%上昇 |
人工甘味料入り飲料 | 全がん | 有意な関連なし |
100%果汁飲料への警鐘
NutriNet-Santé研究における100%果汁飲料の摂取もがんリスク増加と関連するという知見は、非常に重要です。なぜなら、果汁飲料はしばしば炭酸飲料の健康的な代替品として市場に出され、そのように認識されているからです。
しかし、100%果汁であっても、一部の炭酸飲料と同等かそれ以上の天然の糖分を含んでいる場合があります。人工甘味料を使用した飲料ががんリスクとの関連を示さなかったという事実は、その供給源(添加糖か果汁中の天然糖か)に関わらず、糖分含有量自体が観察されたがんリスクの主な要因であることを強く示唆しています。
急性の危機:ペットボトル症候群(清涼飲料水ケトーシス)の実態と対策
清涼飲料水の過剰摂取は、慢性的な健康問題だけでなく、急性の健康危機を引き起こすこともあります。日本では特に「ペットボトル症候群」として知られる状態が懸念されています。
ペットボトル症候群とは何か
ペットボトル症候群は、医学的には「清涼飲料水ケトーシス」または急性糖尿病の一形態として認識されています。これは、糖分を多量に含む清涼飲料水を大量に、かつ継続的に摂取することによって引き起こされる、急性の糖尿病性ケトアシドーシスです。
典型的には、若年層(10代~30代)で、過去に糖尿病と診断されていない人にも発症することがあり、約10%の糖分を含む飲料を1日に1.5リットル以上、1ヶ月以上にわたって飲み続けるようなケースで発症リスクが高まります。
主な症状と発症メカニズム
主な症状
極度の喉の渇き
多尿
全身倦怠感
吐き気、嘔吐
腹痛
めまい
重症化すると意識混濁、昏睡状態
発症メカニズム(悪循環)
ペットボトル症候群の悪循環メカニズム
悪循環のポイント:喉が渇くほど甘い飲料を飲んでしまい、症状が悪化していく危険なサイクルです。
清涼飲料水の過剰摂取は、慢性的な問題だけでなく、「ペットボトル症候群」(清涼飲料水ケトーシス)と呼ばれる急性の健康危機を引き起こすことがあります。特に若年層で、糖尿病と診断されていない人にも発症する可能性があるため注意が必要です。このセクションでは、その実態と対策について詳しく見ていきます。
項目 | 説明 |
---|---|
定義 | 清涼飲料水の多量摂取による急性の糖尿病性ケトアシドーシス |
主な症状 | 極度の喉の渇き、多尿、吐き気、意識障害、昏睡 |
発症の目安となる摂取量 | 10%糖分飲料を約1.5L/日以上、1ヶ月以上継続 |
ハイリスク群 | 若年層(10~30代)、肥満、甘味飲料嗜好者 |
予防法 | 清涼飲料水を避け、水や無糖飲料を選択 |
予防法と対策
- 糖分の多い清涼飲料水の摂取を大幅に減らすか、完全に避ける
- 水分補給には、水や無糖のお茶などを選ぶ
- 多くの清涼飲料水には高濃度の糖分が含まれていることを認識する(500mlペットボトル1本に角砂糖10~15個分に相当する40~70gの糖分が含まれることもある)
- 喉の渇きを増すような塩辛いものや味の濃い食事を控え、バランスの取れた食生活を心がける
危険な悪循環の認識
ペットボトル症候群は、しばしば糖尿病と診断されていない個人に発症するため、その突然の発症は特に危険です。体の自然な喉の渇きの反応に対し、さらに糖分の多い飲み物で渇きを癒そうとすると、逆説的に状態を悪化させます。
高血糖という核心的な特徴は、直接的に喉の渇きを増大させます。もし個人が習慣的に糖分の多い飲み物を摂取している場合、喉の渇きを癒すための選択肢が、問題を引き起こしているまさにその飲料になるでしょう。これが有害な正のフィードバックループを生み出します。
極度の喉の渇き、特に倦怠感や頻尿などの他の症状を伴う場合は、反射的にさらに糖分の多い飲み物で対処すべきではないという、重要な公衆衛生上のメッセージを強調しています。認知度が低いことも、この点をさらに重要にしています。
運動時のスポーツドリンク:正しい使用法と誤用のリスク
運動時の水分補給としてスポーツドリンクが広く利用されていますが、その適切な使用法と不適切な摂取がもたらす危険性についての理解は必ずしも十分ではありません。スポーツドリンクの役割と正しい利用法、そして誤用によるリスクを科学的根拠に基づいて解説します。
結論、スポーツドリンクは、特定の運動条件下では有益ですが、日常的な飲用や軽度の運動時には不適切です。その糖分含有量は、活動量の少ない人には過剰なエンプティカロリーとなり得ます。マーケティングに惑わされず、適切な状況で使用することが大切です。
スポーツドリンクの役割と成分
スポーツドリンクは、長時間にわたる激しい運動中に失われる水分、電解質(特にナトリウム)、そしてエネルギー源となる炭水化物(糖分)を補給するために設計された飲料です。主な成分は、水、糖類(ブドウ糖、ショ糖、果糖など)、電解質(ナトリウム、カリウム、塩化物など)、そして風味を調整するための香料などです。
使用が推奨される状況
米国小児科学会
長時間(60分以上)の激しい身体活動、特に高温多湿環境での運動時
ジョンズ・ホプキンス
成人で45分以上、子供で60分以上の活動時
米国スポーツ医学会
1時間以上の運動時、ナトリウム0.5~0.7g/L含有推奨
推奨される成分構成
ナトリウム
ACSM: 0.5~0.7g/L
JSPO: 40~80mg/100ml
炭水化物
4~8%の濃度が適切
(エネルギー補給と胃腸負担のバランス)
温度
5~15℃に冷却
(吸収促進・体温上昇抑制)
条件/ガイドライン | 推奨事項 | 根拠 |
---|---|---|
運動時間 | 60分以上(成人では45分以上の場合も) | 長時間運動による水分・電解質・エネルギー損失の補給 |
運動強度 | 激しい運動 | 高強度運動による損失が大きい |
ナトリウム含有量 | 0.5~0.7 g/L (ACSM) または 40~80mg/100ml (JSPO) | 発汗によるナトリウム損失の補填、低ナトリウム血症予防 |
糖質濃度 | 4~8% | エネルギー補給と胃腸への負担軽減のバランス |
使用すべきでない場合 | 日常的な飲用、短時間/軽度の運動 | 過剰な糖分・カロリー摂取、虫歯リスク |
不適切な摂取がもたらす健康リスク
過剰な糖分摂取
運動量が少ない場合や日常的にスポーツドリンクを摂取すると、その糖分が過剰なカロリー摂取につながり、肥満や虫歯のリスクを高めます。これが、運動をしていない人や軽度の運動時にスポーツドリンクを飲むことの主なリスクです。
他の糖分の多い飲料と同様に、過剰に摂取すれば「ペットボトル症候群」を引き起こす可能性もあります。
電解質バランスの乱れ(低ナトリウム血症=水中毒)
多量の汗をかく長時間の運動中に、水のみ(またはナトリウム含有量の極めて低い液体のみ)を大量に摂取すると、血液中のナトリウム濃度が低下し、低ナトリウム血症(水中毒)を引き起こす可能性があります。適切なナトリウム濃度を含むスポーツドリンクは、これを予防するのに役立ちます。
エナジードリンクとの違い
エナジードリンクはスポーツドリンクとは異なります。高濃度のカフェインやその他の興奮剤を含み、運動中の水分補給を主目的として設計されていません。カフェインには利尿作用があり、脱水を悪化させる可能性があります。
清涼飲料水はなぜ体に悪いのか?作用機序の解明
清涼飲料水が健康に多岐にわたる悪影響を及ぼす背景には、複雑な生理学的メカニズムが存在します。糖代謝の異常、慢性炎症、酸化ストレス、血管への直接的なダメージなどが複合的に関与していると考えられています。
糖代謝異常とインスリン抵抗性
清涼飲料水は吸収されやすい糖分を大量に供給し、血糖値を急上昇させます(血糖値スパイク)。これに対応するため膵臓から大量のインスリンが分泌されますが、これが繰り返されると細胞がインスリンに反応しにくくなる「インスリン抵抗性」が生じます。
糖代謝異常とインスリン抵抗性のメカニズム
特に果糖(フルクトース)代謝の特異性:
肝臓での代謝
主に肝臓で代謝され、速やかに中性脂肪へと変換されやすい(脂肪肝の原因)。
尿酸の産生増加
尿酸の産生を増加させる可能性。
インスリン抵抗性
インスリン抵抗性や内臓脂肪蓄積に大きく関与。
結果として、インスリン抵抗性は2型糖尿病の前段階であり、肥満や心血管疾患とも密接に関連します。
その他、高果糖摂取が腸内細菌叢のバランスを乱す可能性や、肥満によるホルモン系への影響も研究されています。
慢性炎症と酸化ストレス
慢性炎症と酸化ストレスのメカニズム
糖化とAGEs(終末糖化産物)
高血糖状態は糖化反応を促進し、AGEsを形成。AGEsは組織に蓄積し、炎症反応を引き起こす可能性があります(糖化ストレス)。
酸化ストレス
果糖代謝や高血糖状態自体が活性酸素種(ROS)を産生し、細胞、タンパク質、DNA、脂質を損傷。これが炎症や慢性疾患の一因となります。
慢性的な軽度炎症は、肥満、糖尿病、心血管疾患に共通してみられる特徴です。
その他、高果糖摂取が腸内細菌叢のバランスを乱す可能性や、肥満によるホルモン系への影響も研究されています。
総括:多角的な攻撃
清涼飲料水は、代謝異常、炎症、酸化ストレス、血管損傷など、複数の経路を通じて体に害を及ぼします。これは単なるカロリーの問題ではなく、複数の生理学的システムの深刻な混乱です。
血管内皮機能障害
繰り返される血糖値スパイクは、血管の内側を覆う内皮細胞を損傷します。これにより、血管拡張に必要な一酸化窒素の産生が低下し、血管の健康が損なわれます。
血管内皮機能障害のメカニズム
内皮細胞の損傷は炎症を促進し、動脈硬化プラークの形成を助長。心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。
その他、高果糖摂取が腸内細菌叢のバランスを乱す可能性や、肥満によるホルモン系への影響も研究されています。
総括:多角的な攻撃
清涼飲料水は、単一のメカニズムを通じて体に害を及ぼすのではなく、代謝異常、炎症、酸化ストレス、直接的な血管損傷、そして潜在的には腸内環境やホルモンバランスの乱れを含む、多角的な攻撃を仕掛けます。
即時的な影響はブドウ糖・果糖の急増であり、インスリンスパイクを引き起こします。慢性的にこれが続くとインスリン抵抗性につながります。同時に、過剰な糖はAGEsの形成と酸化ストレスを促進します。これらのプロセスは慢性炎症を助長します。血糖値スパイクは血管を直接損傷します。特に果糖は肝臓での脂肪蓄積と尿酸産生を促進します。
これらの相互作用するメカニズムの複雑さが、清涼飲料水が糖尿病、心臓病、肝臓病、腎臓病、痛風、そして潜在的にはがんや不妊といった、これほど多様な健康問題と関連付けられる理由を説明しています。これは単に「カロリー」の問題ではなく、複数の生理学的システムの深刻な混乱に関する問題です。
結論と健康的な飲料選択への提言
科学的結論
清涼飲料水の日常的な摂取は、確実に健康に悪影響を及ぼします。肥満、糖尿病、心血管疾患、がん、不妊、急性の「ペットボトル症候群」まで、多岐にわたるリスクが科学的に証明されています。
健康的な選択のための5つのポイント
- 水を最優先
水分補給の基本は水です - 糖分飲料を避ける
炭酸飲料、果汁飲料、エナジードリンクの日常摂取を控える - 無糖飲料を選ぶ
お茶、無糖コーヒーなどを選択 - 100%果汁も注意
天然の糖分でも大量摂取は危険 - 成分表示を確認
糖分量を意識して選択
予防策は驚くほど単純です:水を選ぶことです。科学は複雑ですが、健康リスクを避ける方法は誰にでもできる簡単なことなのです。
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