【実は科学的根拠に乏しいMBTI】MBTIは占いレベルの信頼性でほぼ意味がないと言える理由や致命的欠陥を心理学の最新研究より解説!

著者プロフィール画像 ひろむん

🧠 結論:MBTIは「エンタメ」、科学的根拠を求めるなら「ビッグファイブ」か「HEXACO」

心理学の世界で長年議論されてきた「MBTI(マイヤーズ・ブリッグス・タイプ指標)」の真実をお話しします。現在、多くの心理学研究者の間では、MBTIは個人の性格を正確に測定するための科学的なツールとしては信頼性が低いと見なされています。

✅ 科学的に信頼性の高い性格分析ツール

  • 📊

    ビッグファイブ(特性5因子モデル)

    数十年にわたるデータ駆動型の研究に基づき、個人の性格をより正確に記述し、将来の行動を予測

  • 🔬

    HEXACOモデル

    ビッグファイブを進化させた最新モデル。「正直さ-謙虚さ」という重要な第6の次元を追加

⚠️ MBTIの適切な位置づけ

MBTIは、自己理解のきっかけや他者との会話の糸口として楽しむ「エンターテイメント」や「自己探求のツール」として捉えるのが適切です。しかし、キャリア選択や人材採用といった重要な意思決定に用いるには、科学的根拠が不十分です。

🧠 MBTIは科学的にどのくらい意味がある?心理学の専門家が徹底解説

人気の性格診断MBTIの真実と、科学的に信頼性の高い代替案を、研究データとともに包括的に解説します。

第1章:なぜMBTIはこれほど人気?科学が解き明かす「当たっている」と感じる心理

MBTIが科学的根拠に乏しいにもかかわらず、世界中で絶大な人気を誇るのはなぜでしょうか。その背景には、人間の心理に巧みに働きかけるいくつかの要因があります。

🎭 バーナム効果の力

MBTIの診断結果が「驚くほど当たっている」と感じる最大の理由の一つは、「バーナム効果」と呼ばれる心理現象です。これは、誰にでも当てはまるような曖昧で一般的な記述を、あたかも自分だけに特有の正確な分析であるかのように受け入れてしまう傾向を指します。

💬 具体例:「当たっている」と感じる表現

「あなたは他人に優しく接する一方で、時には傷つきやすい一面も持っています」

→ こうした記述は、多くの人が「自分のことだ!」と感じるでしょう。

🧠 心理的メカニズム

  • 🔍

    選択的注意

    自分に合っている部分だけを無意識に記憶し、そうでない部分は見落としてしまう

  • 確証バイアス

    自分自身の自己イメージと一致する情報を特に信じたいという心理的な働き

🏷️ カテゴリー分けとポジティブな自己像への魅力

人間は、複雑な世界を理解するために物事をカテゴリーに分類することを好む傾向があります。MBTIは人々を16種類の明確な「タイプ」に分類し、アイデンティティの感覚やグループへの所属感を提供します。

💬 ラベリングの力

「私はINTJだ」「あなたはENFPだ」といった具合に、自分や他者に分かりやすいラベルを付与

✨ ポジティブな表現

「生まれながらの協力者」「独創的なアイデアを生み出す」など、自己肯定感を高める表現が豊富

📱 SNSでシェアしたくなる理由

MBTIは人の性格を「優劣」ではなく「違い」として捉えるため、診断結果を受け入れやすく、他人との会話のネタとしても使いやすいのです。これは、精神的な不調なども扱う臨床心理学の診断ツールとは対照的です。

📜 データではなく理論に基づいた歴史的背景

MBTIの根本的な課題は、その成り立ちにあります。MBTIは1940年代に、心理学の専門的な訓練を受けていなかったキャサリン・ブリッグスと娘のイザベル・マイヤーズによって開発されました。彼女たちはスイスの精神科医カール・ユングの心理学的類型論に感銘を受け、その理論を一般の人々にも分かりやすく応用しようと試みました。

科学的アプローチ(ビッグファイブ) MBTIのアプローチ
帰納的(データ・ファースト)
辞書から何千もの性格表現を収集 → 統計的手法で分析 → データから基本次元を発見
演繹的(セオリー・ファースト)
ユングの抽象理論が先に存在 → 理論に合う質問票を作成 → 科学的検証を経ず
✅ 科学的アプローチ(ビッグファイブ)

帰納的(データ・ファースト)で、辞書から何千もの性格表現を収集し、統計的手法で分析してデータから基本次元を発見。

❌ MBTIのアプローチ

演繹的(セオリー・ファースト)で、ユングの抽象理論が先に存在し、理論に合う質問票を作成。科学的検証を経ていない。

問題点:理論の正しさを最初から前提としており、科学的な検証プロセスを経ていないため、その後の多くの心理測定学的な問題の根源となっています。

第2章:MBTIへの科学的批判:心理学者が「信頼できない」と判断する理由

MBTIは心理学の専門家から長年にわたり厳しい批判にさらされてきました。その主な理由は、「信頼性」「妥当性」、そしてその土台となる「類型論」という考え方自体の問題点に集約されます。

🚨 1. 信頼性の欠如:結果が安定しない

科学的な測定ツールに不可欠な条件の一つが「信頼性」、つまり何度測定しても同じような結果が得られることです。しかし、MBTIはこの点で大きな問題を抱えています。

📊 驚くべきデータ

MBTIを再受検した人のうち最大50%が、わずか数週間の期間を空けただけで前回とは異なるタイプに分類されます。性格という比較的安定した特性を測定するテストとしては致命的な欠陥です。

🔍 構造的問題の根本原因

性格特性の多くは、「内向的か外向的か」といった二者択一ではなく、正規分布(多くの人が中央値付近に集まるベル型のカーブ)を描くことが分かっています。

❌ MBTIの問題あるアプローチ

連続的なスペクトラムの中央に人為的な線を引き、スコア49%なら「内向型(I)」、51%なら「外向型(E)」と无理やり二つに分類。

✅ 正しい理解

性格は連続的なスペクトラムで、個人はそのどこかの位置にいる。その日の気分や状況によるわずかな回答の揺れが、異なる「タイプ」を生み出してしまう。

MBTIの問題あるアプローチ 正しい理解
連続的なスペクトラムの中央に人為的な線を引き、49%なら内向、51%なら外向と无理やり二つに分類 性格は連続的なスペクトラムで、個人はそのどこかの位置にいる
その日の気分や状況によるわずかな回答の揺れが、異なる「タイプ」を生み出す 安定した特性である性格は短期間で変わらない

⚠️ 2. 妥当性の欠如:測定したいものを測れず、将来を予測できない

「妥当性」とは、テストが本当に測定したいものを測れているか、そしてその結果が実社会での行動や成果を予測できるかという指標です。MBTIはこの妥当性においても多くの疑問が呈されています。

🏦 米国科学アカデミーの公式結論(1991年)

「キャリアカウンセリングプログラムでのMBTIの使用を正当化する、十分にデザインされた研究は存在しない」

🔬 研究情報

ノルウェー経営大学エイドリアン・ファーナム教授らの研究

  • MBTIの各指標と科学的性格検査(NEO-PI-R等)との相関が低い
  • 仕事のパフォーマンスやリーダーシップを一貫して予測する能力に欠ける

⚠️ 部分的な相関は存在

一部の指標(外向-内向など)はビッグファイブの特定の因子とある程度の相関を示しますが、全体としての予測力は非常に弱いのです。

🎯 3. 「類型論」という根本的な誤り:誤った二元論

これまでの批判点を統合すると、MBTIの最も根本的な問題は、性格を「タイプ(類型論)」で捉えようとする点にあります。類型論は、人々を互いに排他的なカテゴリーに分類しますが、実際の人の性格はそうした単純な箱に収まるものではありません

📐 身長の例で理解する正しいアプローチ

MBTI的アプローチ(問題あり) 科学的アプローチ(正しい)
全ての人を無理やり「背が高い人」と「背が低い人」の二つのタイプに分類 「175cm」「162cm」というように連続的な尺度で測定
個人の持つ豊かなニュアンスや多様性を完全に無視 中間的な値(170cm等)や個人差を適切に表現
❌ MBTI的アプローチ(問題あり)

全ての人を無理やり「背が高い人」と「背が低い人」の二つのタイプに分類。個人の持つ豊かなニュアンスや多様性を完全に無視。

✅ 科学的アプローチ(正しい)

「175cm」「162cm」というように連続的な尺度で測定。中間的な値(170cm等)や個人差を適切に表現。

🔬 現代心理学の主流:「特性論」

現代の心理学では、このような類型論ではなく、個人の性格を複数の連続的な次元(スペクトラム)の組み合わせとして捉える「特性論」が主流です。

✨ 次の章で紹介する信頼性の高い代替案
  • ビッグファイブ(特性5因子モデル)
  • HEXACOモデル

第3章:科学的スタンダード:「ビッグファイブ」理論とは?

MBTIに代わる科学的な性格分析のゴールドスタンダードとして、心理学研究で最も幅広く受け入れられているのが「ビッグファイブ」理論(特性5因子モデル)です。

📚 データ駆動の起源:語彙仮説

ビッグファイブの成り立ちは、MBTIとは対照的に、徹底したデータ分析に基づいています。その根底にあるのが「語彙仮説」という考え方です。

💡 語彙仮説とは

「ある文化において個人差を記述するために重要であればあるほど、その特性は一つの単語として言語の中に定着するはずだ」という仮説

🔬 科学的プロセス

📚 ステップ1

辞書から性格を表す何千もの形容詞を抽出
(「社交的な」「勤勉な」「心配性の」等)

📈 ステップ2

大勢の人々に自己評価や他者評価を依頼

⚖️ ステップ3

膨大なデータを「因子分析」で解析し、5つの基本次元を発見

結果:文化や言語を超えて、人間の性格が主に5つの基本的な次元(因子)に集約されることを発見

🏆 研究のパイオニアと大学

ビッグファイブは一人の天才が生み出したものではなく、複数の研究チームが独立して研究を進め、同様の結論に達したことで科学的なコンセンサスとなりました。

  • 💫

    ルイス・R・ゴールドバーグ(オレゴン大学)

    「ビッグファイブ」という名称を広め、膨大な単語リストを用いた研究を通じて、5因子モデルの頑健性を証明。語彙仮説アプローチの正当性を確立した中心人物。

  • 🔬

    ポール・T・コスタ Jr. & ロバート・R・マックレー

    米国国立衛生研究所 / ジョンズ・ホプキンス大学
    ビッグファイブ測定の「NEO-PI-R」を開発。長期研究で年齢での安定性や文化を超えた普遍性を証明。

🌊 5つの次元(O.C.E.A.N.)

ビッグファイブは、以下の5つの次元の頭文字をとって「OCEAN」モデルとも呼ばれます。各次元はスペクトラムであり、人は「高いか低いか」のどちらかではなく、その尺度のどこかに位置づけられます。

  • 🎨

    O – Openness to Experience (開放性)

    知的好奇心、想像力、芸術への感受性、新しい経験への積極性を示します。スコアが高い人は創造的で革新的ですが、低い人は現実的で伝統を重んじる傾向があります。

  • C – Conscientiousness (誠実性・勤勉性)

    自己規律、計画性、責任感、達成意欲の強さを示します。スコアが高い人は几帳面で信頼できますが、低い人は自発的で柔軟な傾向。仕事のパフォーマンスと強い関連があることで知られています。

  • 😄

    E – Extraversion (外向性)

    社交性、積極性、活発さ、ポジティブな感情の経験しやすさを示します。スコアが高い人は人との交流からエネルギーを得ますが、低い人(内向的な人)は一人の時間や静かな環境を好みます。

  • 🤝

    A – Agreeableness (協調性・調和性)

    他者への共感、信頼、協力的な態度を示します。スコアが高い人は思いやりがあり親切ですが、低い人は競争的で自己主張が強い傾向があります。

  • 😰

    N – Neuroticism (神経症的傾向・情緒不安定性)

    不安、怒り、抑うつといったネガティブな感情の経験しやすさを示します。スコアが高い人はストレスに敏感で感情が揺れやすいですが、低い人は情緒が安定しており、冷静でいられる傾向があります。

✨ ビッグファイブの真価:「ラベル」から「プロフィール」へ

ビッグファイブが提供するのは、MBTIのような静的な「ラベル」ではありません。それは、個人の性格傾向を多角的に示す、より動的で詳細な「プロフィール」です。

❌ MBTIの限界

「私は内向型だからリーダーにはなれない」といった自己限定的な考え方

✅ ビッグファイブのアプローチ

「私の外向性は低い傾向にあるが、誠実性の高さを活かして、計画的で信頼されるリーダーシップを発揮しよう」

MBTIの限界 ビッグファイブのアプローチ
「私は内向型だからリーダーにはなれない」といった自己限定的な考え方 「私の外向性は低い傾向にあるが、誠実性の高さを活かして、計画的で信頼されるリーダーシップを発揮しよう」

🧪 科学的自己理解の価値

これは、自己理解のためのより健全で科学的なアプローチと言えるでしょう。自身の特性を理解し、それをどう活かすかを考えることができます。

第4章:ビッグファイブの進化形:「HEXACO」モデルと「正直さ-謙虚さ」という新たな視点

科学は常に進化し続けます。ビッグファイブが性格心理学のスタンダードとして確立された後も、研究者たちはそのモデルが本当に十分なものか、検証を続けました。その結果、ビッグファイブをさらに洗練させた「HEXACOモデル」が誕生しました。

🔬 科学的プロセスの実践:6番目の因子の発見

1990年代後半から2000年代にかけて、ヨーロッパやアジアの多様な言語でビッグファイブと同様の語彙研究が行われました。

🔍 驚きの発見

多くの言語圏で、ビッグファイブの5因子に加えて、一貫して6番目の因子が浮かび上がってきたのです。これは、ビッグファイブが見落としていた、しかし人間社会において極めて重要な性格の側面が存在することを示唆していました。

👨‍🔬 研究者:キビョム・リー & マイケル・C・アシュトン

この6番目の因子を体系的に研究し、6因子から成る新たな性格モデル「HEXACO」を提唱したのが、カナダの研究者であるキビョム・リー(Kibeom Lee)とマイケル・C・アシュトン(Michael C. Ashton)です。

🔧 実用的な貢献

彼らは、このモデルを測定するための質問紙(HEXACO-PI-R)も開発し、その有効性を世界中の研究で示してきました。

💎 HEXACOの6つの次元

HEXACOモデルは、ビッグファイブの5つの次元を含みつつ、その内容を一部再定義し、決定的に重要な6番目の次元を加えています。

  • 💎

    H – Honesty-Humility (正直さ-謙虚さ)

    これがHEXACOモデルの最大の特徴です。誠実さ、公平さ、謙虚さ、貪欲でないことを示します。スコアが高い人は、他人を個人的な利益のために利用しようとせず、ルールを守り、贅沢や特権的な地位に関心がありません。一方、スコアが低い人は、自己中心的で、目的のためには人を操ることも厭わない傾向があります。

  • 😨

    E – Emotionality (情緒性)

    ビッグファイブの神経症的傾向と似ていますが、恐怖、不安、他者への依存、共感性といった側面をより強く含みます。

  • 🎉

    X – eXtraversion (外向性)

    ビッグファイブの外向性とほぼ同じで、社交性、活発さ、自己主張の強さなどを含みます。

  • 🕊️

    A – Agreeableness (協調性)

    ビッグファイブの協調性とは少し異なり、特に「怒りっぽさのなさ」に焦点を当てます。寛容さ、優しさ、柔軟性、忍耐強さなどが含まれます。

  • 📋

    C – Conscientiousness (誠実性・勤勉性)

    ビッグファイブの誠実性とほぼ同じで、計画性、勤勉さ、完璧主義、慎重さなどを含みます。

  • 🌟

    O – Openness to Experience (開放性)

    ビッグファイブの開放性とほぼ同じで、知的好奇心、創造性、審美眼などを含みます。

⚖️ 「正直さ-謙虚さ」の革新的価値

「正直さ-謙虚さ」という次元の追加は、単なる学術的な洗練にとどまりません。この因子は、ビッグファイブだけでは十分に捉えきれなかった、人間の道徳的・倫理的な側面を明らかにする上で絶大な力を発揮します。

✅ 高スコアの予測

職場での誠実な行動、協力的な態度、倫理的な意思決定などを強力に予測

❌ 低スコアの関連

物質主義、非倫理的な行動、ナルシシズムやマキャベリズムといった「ダークトライアド」と関連

💼 実用的な価値

HEXACOモデルは、例えば採用活動において「仕事ができる(誠実性が高い)だけでなく、倫理的で信頼できる人物か(正直さ-謙虚さが高いか)」といった、より深いレベルでの人物理解を可能にし、組織や社会における対人関係のダイナミクスを予測する上で、ビッグファイブを超える独自の価値を提供しています。

📊 一目でわかる!MBTI・ビッグファイブ・HEXACOの比較

ここまで解説してきた3つの性格モデルの主な違いを、以下の表にまとめました。この表を見ることで、なぜMBTIがエンターテイメントの域を出ず、ビッグファイブとHEXACOが科学的なツールとして信頼されているのかが明確になるでしょう。

特徴 MBTI ビッグファイブ HEXACO
科学的根拠 ❌ 疑似科学的 / 経験的証拠が乏しい ✅ 学術的な心理学における世界標準 💎 ビッグファイブを基にした最新のデータ駆動型モデル
基本理論 ⚠️ 類型論(人々を16のカテゴリーに分類) ✅ 特性論(5つの連続的な次元で測定) 💎 特性論(6つの連続的な次元で測定)
信頼性(再現性) ❌ 低い(再検査で結果が頻繁に変わる) ✅ 高い(時間をおいても結果が安定) 💎 高い(時間をおいても結果が安定)
妥当性(予測力) ❌ 非常に低い(仕事の成果などを予測できない) ✅ 高い(仕事の成果、学業成績などを予測) 💎 非常に高い(倫理的・社会的な行動の予測力が加わる)
主な用途 🎭 エンターテイメント、自己探求のきっかけ、会話のネタ 🔬 学術研究、臨床心理学、人材採用・配置 💼 組織心理学、倫理研究、より精緻な行動予測
❌ MBTI
  • 疑似科学的
  • 類型論(16分類)
  • 信頼性が低い
  • 予測力が弱い
  • エンターテイメント用途
✅ ビッグファイブ
  • 学術的世界標準
  • 特性論(5次元)
  • 信頼性が高い
  • 高い予測力
  • 学術・臨床用途
💎 HEXACO
  • 最新データ駆動型
  • 特性論(6次元)
  • 信頼性が高い
  • 最高の予測力
  • 組織・倫理研究

💡 この比較表から分かること

この比較表は、性格分析ツールを選ぶ際の重要な判断基準となります。手軽で分かりやすいMBTIの魅力は否定できませんが、もしご自身の性格をより深く、正確に、そして科学的な裏付けをもって理解したいのであれば、その視線はビッグファイブやHEXACOモデルに向けられるべきです。

まとめ:自分をより深く知るための、科学的なツールの使い方

本稿では、MBTIの科学的根拠と、より信頼性の高い性格分析モデルであるビッグファイブおよびHEXACOについて多角的に解説してきました。

🎭 MBTIの適切な位置づけ

MBTIは、自己について考えるきっかけを与えてくれる楽しいツールであり、多くの人にとって自己理解の第一歩となるかもしれません。しかし、その結果を絶対的なものと捉え、キャリア選択や人間関係、人材評価といった重要な判断の根拠とすることは、科学的な観点から推奨されません。MBTIが提供するのは、あなたという複雑な人間を単純な「ラベル」に押し込めるものであり、深い理解には繋がりにくいのです。

🔬 真の自己理解へのアプローチ

真の自己理解とは、「自分は何のタイプか?」と問うことではなく、「自分はこれらの主要な性格の次元において、どのあたりに位置するのか?」と考えることから始まります。これが、現代の特性心理学が私たちに教えてくれる最も重要な教訓です。

📝 科学的性格評価の推奨

もし科学的に妥当性のある性格評価に興味があるならば、ビッグファイブやHEXACOモデルに基づいたテストを探すことをお勧めします。ルイス・ゴールドバーグ博士が開発したIPIP (International Personality Item Pool)のように、学術研究目的で開発された質問項目がオンラインで公開されている場合もあります。

✨ あなただけのユニークな特性の地図を手に入れる

最終的に、どのような性格分析の結果も、あなたを縛るためのものではなく、あなた自身をより良く理解するためのツールに過ぎません。自身の持つ傾向を知ることで、強みをどう活かし、弱点とどう向き合っていくかを考えるヒントが得られます。

  • 💪

    強みを活かすヒント

    例:誠実性が高いと分かれば、粘り強さが求められるプロジェクトで自分の力を発揮できる

  • 🔧

    弱点への対策

    例:神経症的傾向が高いことを理解すれば、ストレス管理のテクニックを学ぶ動機になる

🧪 結論:科学的な羅針盤としての性格分析

あらかじめ用意された16個の箱に自分を当てはめるのではなく、あなただけのユニークな特性の組み合わせという、はるかに豊かで正確な自己の地図を手に入れること。科学的な性格分析は、そのための信頼できる羅針盤となるはずです。

📚 参考文献

  1. Myers–Briggs Type Indicator – Wikipedia, 9月 18, 2025にアクセス、
    https://en.wikipedia.org/wiki/Myers%E2%80%93Briggs_Type_Indicator
  2. The Myers-Briggs Type Indicator (MBTI): Is It Personality Pseudoscience? – Human Performance, 9月 18, 2025にアクセス、
    https://humanperformance.ie/myers-briggs-type-indicator-pseudoscience/
  3. Cautionary Comments Regarding the Myers-Briggs Type Indicator – ResearchGate, 9月 18, 2025にアクセス、
    https://www.researchgate.net/publication/232494957_Cautionary_comments_regarding_the_Myers-Briggs_Type_Indicator
  4. HEXACO model of personality structure – Wikipedia, 9月 18, 2025にアクセス、
    https://en.wikipedia.org/wiki/HEXACO_model_of_personality_structure
  5. ビッグファイブは人間の性格を5つの因子で説明する理論!5つの特性と心理テストを紹介, 9月 18, 2025にアクセス、
    https://survey.lafool.jp/mindfulness/column/0323.html
  6. Lewis Goldberg – Wikipedia, 9月 18, 2025にアクセス、
    https://en.wikipedia.org/wiki/Lewis_Goldberg
  7. Paul Costa | Johns Hopkins | Bloomberg School of Public Health, 9月 18, 2025にアクセス、
    https://publichealth.jhu.edu/faculty/1125/paul-t-costa
  8. HEXACOモデル – Wikipedia, 9月 18, 2025にアクセス、
    https://ja.wikipedia.org/wiki/HEXACO%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB
  9. その他の関連研究及び学術論文多数
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