キャンプは太るのか?外で食べると食欲が増す理由と太らないキャンプ飯のコツ
ひろむん
キャンプ飯を楽しみながら、食べすぎを防ぐコツが分かります
「外で食べると、なぜか止まらない」の正体を科学的に整理
🔥 キャンプでは、設営やハイキングで普段より動く一方、BBQの香りや仲間との会話、お酒、大皿料理によって食事量も増えやすくなります。
🥾 この記事では、活動量・食欲・睡眠・気温の研究を照らし合わせ、「キャンプは太るのか」「何を意識すれば楽しみを減らさずに済むのか」を具体的に解説します。
先に結論:キャンプそのものが太らせるわけではありません
⚖️ 最後に決まるのはエネルギー収支です
「キャンプだから太る」という直接的な科学的根拠は確認されていません。体脂肪の増減を左右するのは、キャンプ中から前後にかけての摂取エネルギーと消費エネルギーの差です。体重調節は、代謝や体組成も時間とともに変わる動的な仕組みとして考える必要があります。[1]
🍖 食べることが中心のオートキャンプは、摂取過多になりやすい条件がそろいます
友人や家族との食事、大皿料理、肉・チーズ・油・タレなどの高エネルギー密度食品、食べ物の匂い、長時間のだらだら食べ、アルコールが重なると、多少の活動量では相殺しきれない可能性があります。友人との食事では一人のときより摂取量が増えやすく、飲酒時はアルコールのエネルギーに加えて食品由来の摂取も増える傾向が報告されています。[8] [10] [12]
🥾 活動的なキャンプでは、消費エネルギーが大きくなることもあります
日本の大学生を対象にした5泊6日の組織キャンプでは、登山日の歩数が約1.7万〜2.1万歩だった一方、台風で活動を制限された日は約1,000〜2,300歩まで低下しました。つまり、同じキャンプでも、内容と天候で活動量は大きく変わります。[4]
🧠 「運動したから、直後に必ずお腹が減る」とも限りません
急性運動では、食欲を促すアシル化グレリンが下がり、満腹方向に働くPYY・GLP-1・PPが増える傾向があります。冬季低山登山の小規模研究でも、推定843±200 kcalを消費したにもかかわらず、下山後30分まで食欲指数の有意な増加は確認されませんでした。[5] [6] [7]
ひとことで言うと:キャンプそのものが太らせるわけではありません。ただし「運動したから食べても平気」という油断に、酒・大皿料理・仲間との食事・高カロリーな調理が重なると、消費した以上に食べることは十分にあり得ます。「外だから代謝が上がり、肉と酒は実質ゼロカロリー」という都合のよい自然現象はありません。少し残念ですね😂
気になる疑問を、研究根拠の強さと一緒に確認
キャンプは太りやすい?
根拠の強さ:中
キャンプ自体に太る作用がある証拠はありません。摂取>消費が続けば増量、消費>摂取なら減量します。通常のレジャーキャンプを直接調べたデータは不足しています。
キャンプで食欲は増える?
根拠の強さ:中〜高
一律には増えません。急性運動直後は抑えられることもありますが、寒さ、睡眠不足、匂い、友人との食事、アルコールなどが摂取を増やす可能性があります。
「外で食べると、つい食べすぎる」は本当?
根拠の強さ:中〜高
「屋外」という場所そのものより、社会的摂食・食品刺激・大皿・品数・酒・食事時間で説明できる可能性が高いと考えられます。
📈 翌朝の数字だけで「脂肪が1kg増えた」と判断しないでください
筋グリコーゲンの回復時には、グリコーゲン1gに対して少なくとも約3gの水が伴うという実験・レビューがあります。ただし、水がすべてグリコーゲンへ直接結合しているとまでは断定できません。数日間、通常の生活へ戻した後の推移を見るほうが実態を捉えやすくなります。[2]
🧳 休暇中は、活動していても体重が増える場合があります
キャンプそのものの研究ではありませんが、1〜3週間の休暇に出た成人122人を前向きに追跡した研究では、休暇中に平均0.32kg増え、その増加は6週間後にも残っていました。身体活動量は休暇中に減っておらず、著者らは必要量を上回る摂取を主因と考察しています。「普段より活動したから太らない」とは限らないことを示す参考データですが、キャンプへ直接適用はできません。[3]
どんな研究を、どう調べたのか
🔎 2026年9月1日時点の構造化ナラティブレビューです
本調査は、PRISMAに基づく事前登録済みの系統的レビューではありません。そのため、「世界中の該当論文を完全に網羅した」とまでは言えません。通常の1〜3泊程度のレジャーキャンプについて、食事量・総消費エネルギー・体脂肪変化を同時に測定した質の高い研究が極めて少ないため、キャンプで変わりやすい要素を分解してエビデンスを統合しました。
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検索対象
PubMed/MEDLINE、J-STAGEを中心に、出版社・大学リポジトリなどから原著論文を確認しました。
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検索概念
camping / outdoor recreation / backpacking / hiking と、energy expenditure / energy intake / appetite / body weight を組み合わせました。さらに、social facilitation eating、alcohol energy intake、food odor appetite、portion size、energy density、sleep deprivation、cold、heat、natural light camping、circadian、NEATなどを用いました。
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研究の優先順位
メタ解析・系統的レビュー → ランダム化比較試験 → 実験研究 → 野外一次研究 → 観察研究の順で重視しました。ただし、キャンプへの直接性を考慮し、小規模でも日本のキャンプ・登山現場で行われた研究を併記しました。
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主要根拠から除外したもの
動物研究、商品販促サイト、体験談、減量を目的とする「obesity camp」など、通常のレジャーキャンプと意味が異なる研究です。
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この記事での「信頼度」
正式なGRADE評価ではありません。研究デザイン、サンプルサイズ、結果の一貫性、通常のキャンプへの直接性から「高・中・低」を付けました。たとえば社会的摂食の研究自体が強くても、キャンプ場で直接実験したわけではない場合、キャンプへの外挿には不確実性が残ります。
最大の検索上の発見:普通の大人が普通のキャンプに行ったとき、摂取エネルギー・消費エネルギー・体重または体脂肪を同時に測定した研究は極めて乏しい状態でした。以下は、キャンプの直接研究と、キャンプ中に起こり得る個別現象の実験研究を組み合わせた結論です。
主要研究から分かること
横に広い一覧表ではなく、スマートフォンでも研究の条件・結果・意味を一続きで確認できるよう、1研究ずつ整理しています。
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上田ら(2012)|組織キャンプの身体活動量
研究:大学生13人と指導者4人を対象とした5泊6日の野外観察です。
結果:登山日の歩数は約1.7万〜2.1万歩でしたが、台風による活動制限日は約1,000〜2,300歩でした。男子の総消費量も、登山日の約2,628 kcalに対して制限日は約2,017 kcalなど、大きく変動しました。
キャンプへの意味:活動量はプログラムと天候次第で、キャンプ場にいるだけで高消費になるとは限りません。信頼度:中[4]
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藤原ら(2020)|冬季低山登山後の食欲
研究:健康な若年男女8人を対象とした実践的な野外調査です。
結果:推定運動消費は843±200 kcal、平均運動強度は4.1±0.1 METでした。下山直後から30分後まで食欲指数の有意な変化はありませんでしたが、食欲は空腹感・疲労感・甘味・塩味・酸味・濃い味への欲求と正の相関を示しました。
キャンプへの意味:「運動したから直後に猛烈にお腹が減る」とは限らず、疲労や味への欲求も関係します。信頼度:低〜中[5]
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Schubertら(2013)|急性運動後の摂取量
研究:急性運動と、その後のエネルギー摂取量をまとめたメタ解析です。
結果:運動後の絶対的な摂取量への影響は小さく、運動で使ったエネルギーを直後に完全補償する傾向は認めにくい結果でした。
キャンプへの意味:登山や歩行で消費した分を、身体が直ちにすべて食べ戻すよう要求するわけではありません。信頼度:高[6]
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Schubertら(2014)|運動と食欲関連ホルモン
研究:20研究・28試験・241人をまとめたメタ解析です。
結果:急性運動でアシル化グレリンが低下し、PYY・GLP-1・PPが増加しました。
キャンプへの意味:運動直後は、一過性に食欲が抑制される可能性があります。信頼度:高[7]
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Ruddockら(2019)|友人と食べる「社会的摂食」
研究:食事の社会的促進を調べた系統的レビュー・メタ解析です。
結果:友人と食べる場合は、一人の場合より摂取量が増え、効果量はSMD 0.76(95% CI 0.48–1.03)でした。見知らぬ人や知人との食事では明確ではありませんでした。
キャンプへの意味:仲間とのBBQでは、空腹以外の理由でも量が増えやすくなります。信頼度:高(機序)[8]
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Ruddockら(2022)|社会的摂食は数日続くか
研究:成人女性が一人または友人と食べる条件を、3日間ずつ比較したクロスオーバー実験です。
結果:3日間の摂取量は、社会条件で7,310 kcal、単独条件で6,770 kcalでした。増加は複数日に持続し、自由生活下で十分な後日補償もみられませんでした。
キャンプへの意味:連泊でも「今日は食べたから、明日は自然に減る」とは限りません。信頼度:中〜高[9]
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Kwokら(2019)|アルコールと食事量
研究:22研究・701人を含み、主要解析では12研究を統合した系統的レビュー・メタ解析です。
結果:飲酒すると、アルコール自体のエネルギーを食事量の低下で十分に補償せず、食品由来エネルギーと総摂取エネルギーが増えました。
キャンプへの意味:酒のカロリーと食事増加が重なる「二重パンチ」になり得ます。信頼度:中〜高[10]
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Liら(2026)|食べ物の匂いと食行動
研究:43研究をまとめた系統的レビューです。
結果:食品の匂いは、その食品に特異的な食欲やcraving(強い欲求)を高める研究が多い一方、実際の摂取量への効果は一貫していませんでした。
キャンプへの意味:焼肉の匂いが「食べたい」を強めるのは妥当ですが、必ず摂取カロリーが増えるとまでは言えません。信頼度:中[11]
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Kralら(2004)|量とエネルギー密度の組み合わせ
研究:制御下で食事のエネルギー密度と量を変えた摂食実験です。
結果:エネルギー密度と量は、それぞれ独立かつ相加的に摂取エネルギーを増やし、最大条件では最小条件より56%多く摂取されました。
キャンプへの意味:大皿と脂質の多いBBQが重なると、食べすぎ方向に働きやすくなります。信頼度:高(機序)[12]
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Rollsら(2006)|量とエネルギー密度を減らす効果
研究:若年女性24人を対象に、2日間の食事を4条件で比較したクロスオーバー試験です。
結果:ポーションを25%減らすと摂取量が10%(231 kcal/日)低下し、エネルギー密度を25%下げると24%(575 kcal/日)低下しました。効果は加算的でした。
キャンプへの意味:「何を食べるか」と「どれだけ出すか」の両方が効きます。信頼度:高(機序)[13]
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Al Khatibら(2017)|睡眠不足とエネルギー収支
研究:17研究・496人を含み、11研究・172人を統合した系統的レビュー・メタ解析です。
結果:部分的睡眠不足で摂取量が平均385 kcal/日増え、総消費エネルギーの有意な増加は認められませんでした。
キャンプへの意味:テントで睡眠が削られると、翌日の食べすぎにつながる可能性があります。信頼度:高[14]
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Tasaliら(2022)|睡眠を延ばす介入
研究:過体重で短時間睡眠の成人80人を対象としたランダム化比較試験です。
結果:睡眠を約1.2時間延長すると、対照群より摂取量が270 kcal/日低下しました。総消費エネルギーに有意な変化はありませんでした。
キャンプへの意味:睡眠と摂取量の関係は、観察研究だけでなく介入研究でも支持されています。信頼度:高[15]
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Stothardら(2017)|自然光と体内時計
研究:自然の明暗環境で過ごすキャンプ実験です。
結果:週末キャンプだけでも概日リズムと睡眠タイミングが早まり、自然の明暗周期に近づきました。
キャンプへの意味:自然光は睡眠リズムにプラスとなる可能性があります。ただし、睡眠時間の増加や体重減少を示した研究ではありません。信頼度:中[16]
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Unluら(2025)|軽度寒冷と食事量
研究:成人を対象とした対照クロスオーバー試験です。
結果:軽度寒冷条件では、自由摂取エネルギーが温熱中性条件より平均約13%増えました。
キャンプへの意味:秋冬キャンプで「寒いと食べたくなる」現象は、生理的にも起こり得ます。信頼度:中〜高[17]
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Langeveldら(2016)|18℃と24℃の比較
研究:男女10人を対象としたクロスオーバー試験です。
結果:18℃の寒冷条件では代謝量が増えましたが、空腹感や食事摂取量に差はありませんでした。
キャンプへの意味:寒さによる摂取増加は必ず起こるわけではなく、個人差や曝露条件が重要です。信頼度:中[18]
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Cooperら(2016)|休暇中の体重増加
研究:休暇に出た成人122人を対象とした前向き観察研究です。
結果:1〜3週間の休暇で平均0.32kg増え、その後も増加の一部が残りました。
キャンプへの意味:キャンプ研究ではありませんが、非日常の休暇環境で摂取超過が生じ得る参考データです。信頼度:中(間接)[3]
⚠️ 「食欲」と「実際に食べた量」は別の指標です
VAS(視覚的アナログ尺度)で「お腹が減った」という点数が上がっても、食事量が増えるとは限らず、その逆もあります。2025年の冷水浸漬RCTでは、主観的食欲に差がない一方、16℃の冷水後は温熱中性条件より実際の食事量が多くなりました。本人の「お腹は減っていない」という感覚だけでは、摂取量を正確に予測できない場合があります。[19]
なぜ「食べすぎる人」と「むしろ痩せる人」がいるのか
⚖️ 4つの経路が、最後にエネルギー収支へ集まります
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活動量
登山・歩行・設営・荷物運搬は消費を増やします。雨・車移動・座って過ごす時間が多いキャンプは、消費を増やしにくくなります。
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食環境
友人や家族との食事、BBQの匂い、大皿、大きなポーション、油・チーズ・タレ、アルコールは、摂取量やエネルギー密度を押し上げる可能性があります。
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睡眠と概日リズム
自然光と少ない人工光は体内時計を自然の明暗周期へ近づけます。一方、寒さ・騒音・寝具の不快感で実睡眠が減ると、摂取量を増やす方向へ働きます。
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気温と季節
寒冷は熱産生と消費を増やす一方、摂取も増やす場合があります。高温では一部研究で摂取が減りましたが、結果は条件によって異なります。
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最終結果
摂取>消費が持続すれば体脂肪は増え、消費>摂取が持続すれば減ります。キャンプという場所ではなく、複数の条件を合計した収支で決まります。
🏕️ 最も重要な分岐は「キャンプの種類」です
登山・バックパッキング型なら消費側が大きくなりやすい一方、車でサイト横まで行き、設営後は椅子で飲み食いするタイプでは、それほど増えません。同じ参加者でも悪天候で身体活動量が劇的に落ちた日本の組織キャンプ研究からも、「屋外にいる=運動している」という前提は成立しません。[4]
🚶 NEATには、大きな個人差があります
NEATとは、設営・片付け・立ち歩き・水運びなど、計画的な運動以外の身体活動によるエネルギー消費です。古典的な過食実験では、16人が1日1,000 kcalを8週間余分に摂ったとき、NEATの変化は約−98〜+692 kcal/日と大きくばらつき、その差が脂肪増加への抵抗性を強く予測しました。同じ食事をしても、収支は人によってかなり異なります。[20]
🧠 食欲が増える理由は、エネルギー不足だけではありません
急性運動は一時的な食欲抑制を生じることがあり、消費分を直後に完全に食べ戻すことは一般的ではありません。日本の登山研究でも、800 kcalを超える推定消費がありながら、食欲指数自体は明確に増えませんでした。一方、空腹・疲労・「甘い」「しょっぱい」「濃いものが食べたい」といった感覚は食欲と関連していました。[5] [6] [7]
つまり、キャンプ飯を格別においしく感じる理由を、消費カロリーだけで説明するのは単純すぎます。社会性と食物刺激も大きく関係します。友人との食事は摂取量を増やしやすく、食品の匂いは特定食品への食欲やcravingを高めやすい一方、実際の摂取量への影響は一貫していません。[8] [11]
🍖 BBQは「量」と「カロリー密度」を同時に上げやすい食事形式です
大きな肉、大皿、ソーセージ、チーズ、油、マヨネーズ系ソース、締めの麺やご飯が重なると、食べた重量が極端に増えていなくても、エネルギーは高くなります。実験では、ポーションサイズとエネルギー密度がそれぞれ独立して摂取量を増やし、重なると効果が加算されました。揚げ物では、調理中に油が食品へ取り込まれることでエネルギー密度が高まります。[12] [13] [21]
🍺 アルコールは、摂取側で特に手強い存在です
メタ解析では、アルコール飲料のエネルギー分だけ食事を減らす補償は十分に起こらず、食品由来のエネルギーまで増える傾向が確認されました。「ビールを飲んだ分だけ、無意識に肉を減らせるはず」とは期待しにくい結果です。[10]
😴 睡眠には、キャンプならではの二面性があります
自然光に近い環境で週末を過ごすと、概日リズムは自然の明暗周期へ早く調整されるため、光環境の面では有利な可能性があります。ただし、「キャンプなら必ずよく眠れる」という意味ではありません。寒さ・寝具・音などで実際の睡眠時間が削られれば、睡眠不足の影響が強くなります。睡眠制限では摂取量が平均385 kcal/日増え、反対に睡眠延長RCTでは約270 kcal/日減りました。[14] [15] [16]
❄️ 寒い=必ず太る、暑い=必ず痩せる、ではありません
18℃と24℃を比べた2016年の実験では、寒冷でエネルギー消費が上がっても摂取量は変わりませんでした。一方、2025年の対照試験では軽い寒冷環境で自由摂取量が約13%増えました。ヒトの寒冷研究をまとめたレビューも、消費は増えるものの、摂取側の補償には研究不足があると指摘しています。[17] [18] [23]
暑熱では、一部の実験で急性曝露後の摂取量低下が報告されていますが、24時間の暑熱・寒冷曝露で食欲や摂取量が変わらなかった研究もあります。夏キャンプだから自然に食事量が減る、と期待できるほど確立した現象ではありません。暑さで歩かなくなる、飲料摂取が増えるといった別経路も同時に動くため、温度だけで収支は予測できません。[24] [26]
食べる楽しみを減らさず、無意識の食べすぎを防ぐ方法
🎯 管理するのは「食べること」ではなく、無意識に増える部分です
健康目的でも、「食べないキャンプ」にする必要はありません。登山や長距離歩行をする日に炭水化物を大きく削ると、活動中のエネルギー不足につながります。運動後の食欲が消費量を正確に反映しないこともあるため、活動量に合わせた補給が大切です。[5] [6] [25]
🔥 BBQと宴会でできること
焼く・蒸す・煮る料理も組み合わせる
揚げ物や油の多い鉄板料理だけにしない
揚げ物は油の吸収でエネルギー密度が上がります。ただし、「焼けば必ず低カロリー」とも限らず、材料と追加油脂で変わります。[21]
🥾 活動・睡眠・季節に合わせる
💡 迷ったら「酒・油・大皿」から管理
体重管理をしたい人は、活動量の細かな推定より先に、酒・追加油脂・大皿を見直すのが合理的です。ビールが次々と開き、鉄板へ油を足し、袋菓子を全員でつまみ続ける状況には、摂取量を増やす要因が重なっています。[8] [10] [13]
⚠️ 登山キャンプで、夕食を抜くのはおすすめできません
活動量の多い登山キャンプでは、負のエネルギー収支になる可能性があります。160kmのバックパッキングを調べた小規模研究では、1〜4日目の総消費が平均約4,928 kcal/日となり、摂取不足と体重減少がみられました。通常のオートキャンプとは別物なので、目的と活動量を分けて考える必要があります。[25]
誤解の少ない伝え方:キャンプでは「たくさん動くから太らない」とも、「BBQだから太る」とも一概には言えません。登山などで消費量が増える一方、仲間との食事、アルコール、大皿料理、高カロリーな調理で摂取量も増えやすいためです。ポイントは、キャンプという場所ではなく、最終的なエネルギー収支です。
この結論で、まだ分からないこと
1. 普通のレジャーキャンプを直接調べた栄養研究が少ない
今回確認できた日本のキャンプ研究は身体活動量が中心で、摂取エネルギーや体脂肪を同時に測定していません。冬季低山登山研究も8人と小規模で、対照条件がなく、朝食・昼食・行動食も統一されていませんでした。著者らも、季節・食事内容・男女差・血糖などの客観的指標を今後検証する必要性を指摘しています。[4] [5]
2. 強い研究の多くは、キャンプ場で行われたものではない
社会的摂食、アルコール、ポーション、睡眠不足には比較的強いエビデンスがありますが、キャンプ場で実施された実験ではありません。「友人とのBBQでも同様の仕組みが働く」という外挿は妥当と考えられるものの、キャンプ環境に特有の追加効果の大きさは不明です。[8] [10] [13] [14]
3. 匂いは「食べたい」を強めても、摂取量まで増やすとは限らない
主観的な食欲や特定食品へのcravingを高める証拠は多い一方、実際の食品選択や摂取量への影響は研究間で一貫していません。「炭火の匂いで摂取カロリーが○%増える」といった断定は、現時点ではできません。[11]
4. 寒さと暑さの影響は、条件によって異なる
過去の小規模実験では、寒冷で消費が増えても摂取は増えませんでしたが、新しい試験では摂取増加が確認されています。暑熱も結果が条件に左右されます。実際の春・夏・秋・冬キャンプを比べる研究が必要です。[17] [18] [24] [26]
🔬 今後、価値が高い研究デザイン
成人のオートキャンパーを対象に、通常生活と1〜3泊キャンプをクロスオーバーで比較し、二重標識水による総エネルギー消費、実測した食事摂取、アルコール量、加速度計による活動量、睡眠、気温、食欲VAS、体重・体組成を同時に測定する研究です。さらに、ソロ対グループ、登山対オートキャンプ、夏対冬を比べれば、現在ばらばらに存在するエビデンスを整理できます。
最終結論:見るべきは「キャンプに行ったか」ではなく、その中身です
キャンプは、それ自体では太りやすくも痩せやすくもありません。活動的なキャンプは消費を増やす一方、友人との食事、アルコール、大きなポーション、高エネルギー密度の料理、睡眠不足、場合によっては寒冷刺激が摂取側を押し上げます。
体重管理で見るべきなのは、どれだけ動き、どのような環境で、何を、どれくらい、どれだけ長く食べたかです。まずは酒・追加油脂・大皿を整え、活動量の多い日は必要な補給を確保する。このバランスなら、キャンプ飯の楽しさを削りすぎずに続けられます。
参考文献
- Hall KD, et al. Energy balance and its components: implications for body weight regulation. Am J Clin Nutr. 2012.
- Kondo E, et al. Muscle Glycogen Assessment and Relationship with Body Hydration Status: A Narrative Review. Nutrients. 2023.
- Cooper JA, et al. A prospective study on vacation weight gain in adults. Physiol Behav. 2016.
- 上田毅ほか. 気候の変化による組織キャンプの身体活動量に関する研究―大学生の性差の違い―. 運動とスポーツの科学. 2012;18(1):85-90.
- 藤原紗音ほか. 若年男女の登山活動後における食欲指数、空腹感指数及び味覚欲求指数の変化について―冬季の低山登山時にて行った実践的調査研究―. ウォーキング研究. 2020;24:51-55.
- Schubert MM, et al. Acute exercise and subsequent energy intake: a meta-analysis. Appetite. 2013.
- Schubert MM, et al. Acute exercise and hormones related to appetite regulation: a meta-analysis. Sports Med. 2014.
- Ruddock HK, et al. A systematic review and meta-analysis of the social facilitation of eating. Am J Clin Nutr. 2019.
- Ruddock HK, et al. Social facilitation of energy intake in adult women is sustained over three days in a crossover laboratory experiment and is not compensated for under free-living conditions. Appetite. 2022.
- Kwok A, et al. Effect of alcohol consumption on food energy intake: a systematic review and meta-analysis. Br J Nutr. 2019.
- Li J, et al. Effects of food-related odors on eating behavior: A systematic review. Appetite. 2026.
- Kral TVE, et al. Combined effects of energy density and portion size on energy intake in women. Am J Clin Nutr. 2004.
- Rolls BJ, et al. Reductions in portion size and energy density of foods are additive and lead to sustained decreases in energy intake. Am J Clin Nutr. 2006.
- Al Khatib HK, et al. The effects of partial sleep deprivation on energy balance: a systematic review and meta-analysis. Eur J Clin Nutr. 2017.
- Tasali E, et al. Effect of Sleep Extension on Objectively Assessed Energy Intake Among Adults With Overweight in Real-life Settings: A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2022.
- Stothard ER, et al. Circadian Entrainment to the Natural Light-Dark Cycle across Seasons and the Weekend. Curr Biol. 2017.
- Unlu Y, et al. Cold induces increased ad libitum energy intake independent of changes in energy expenditure: a controlled crossover trial in adults. Am J Clin Nutr. 2025.
- Langeveld M, et al. Mild cold effects on hunger, food intake, satiety and skin temperature in humans. Endocr Connect. 2016.
- Grigg MJ, et al. Effects of cold-water immersion on energy expenditure, ad-libitum energy intake and appetite in healthy adults. Physiol Behav. 2025.
- Levine JA, et al. Role of nonexercise activity thermogenesis in resistance to fat gain in humans. Science. 1999.
- Dana D, Saguy IS. Mechanism of oil uptake during deep-fat frying and the surfactant effect—theory and myth. Adv Colloid Interface Sci. 2006.
- Hollands GJ, et al. Portion, package or tableware size for changing selection and consumption of food, alcohol and tobacco. Cochrane Database Syst Rev. 2015.
- Haman F, Blondin DP. Humans in the cold: Regulating energy balance. Obes Rev. 2020.
- Coca M, et al. Twenty four-hour passive heat and cold exposures did not modify energy intake and appetite but strongly modify food reward. Br J Nutr. 2024.
- Hill LC, et al. Energy balance during backpacking. Int J Sports Med. 2008.
- Millet J, et al. Effects of Acute Heat and Cold Exposures at Rest or during Exercise on Subsequent Energy Intake: A Systematic Review and Meta-Analysis. Nutrients. 2021.
本記事は一般的な健康情報です。持病がある方、体重管理の治療中の方、長時間・高強度の登山を予定している方は、医師や管理栄養士などの専門家へご相談ください。