🏃♂️ランニングは太る?長時間有酸素×コルチゾールで「お腹が出る人」と「スッキリ痩せる人」の分かれ目
ひろむん
🏃♂️
「走れば走るほど痩せる」は半分正解で半分ハズレ。長時間・中強度のやりすぎで身体は省エネ化し、ストレスホルモンが上がり、水分が溜まって体重が増えたように見えます。脂肪そのものが一気に増えるわけではない──ここから整理します。
この記事でわかること: 代謝の頭打ち、コルチゾールと食欲ホルモンの乱れ、水分貯留の3つが「太った錯覚」を生むメカニズムと、歩き方・強度配分・食事で太らず続けるコツ。
先に押さえたい結論
種目別のざっくり結論
- ウォーキング: 基本は「太りにくい」。コルチゾールを下げてNEATも保ちやすいので、痩せたい人のベース運動に最適。
- ランニング: 短時間+強弱をつければ◎。ただし中強度をダラダラ長時間続けると、コルチゾール・水分・食欲リバウンドで「太りやすいパターン」に入りやすい。
- 登山: 山の上では筋肉が落ちて体重はむしろ減りがち。太りやすいのは、筋肉が削れた状態で帰宅後に食欲リバウンドし、脂肪がつくとき。
- 水泳: 泳いだ分より「泳いだ後の食べ過ぎ」で太りやすい。冷水で食欲が強く出やすいので要注意。
- サイクリング: 移動効率が良すぎて消費が少なめなうえ、補給しすぎると簡単にプラマイ逆転。筋肉・骨への刺激も弱いので単独依存はNG。
太りやすくなる典型パターン
- 中強度ランやジョグを「毎日1時間以上」続け、休養と睡眠が足りていない。
- 山行中はエネルギー不足で筋肉を削り、下山後に「ご褒美食」で一気に取り返す。
- 水泳やロングライドの日は「運動したからOK」で高脂肪・高糖質を好き放題食べてしまう。
- どの種目でも筋トレをせず、タンパク質も少なく、慢性的な低エネルギー状態になっている。
太らない有酸素の使い方
- ベースはウォーキングやスロージョグ(低強度)にして、週2〜3回だけ短時間HIITや坂ダッシュで刺激を入れる。
- 長時間やる日は、事前+途中+直後に炭水化物とタンパク質をしっかり補給し、「低エネルギー+高コルチゾール」を避ける。
- 週2回の筋トレで筋量と骨を守り、「痩せているのにお腹だけ出る体型」を予防する。
- 成果の指標は体重ではなく、体脂肪率・ウエスト・パフォーマンス(心拍とペース)に置く。
種目別:太る?太らない?を一望
| 種目 | 体重が増えやすい瞬間 | 主な原因 | 痩せるためのコツ |
|---|---|---|---|
| ウォーキング | ほぼ増えにくい | コルチゾール低下でNEATが維持されやすい8,9 | 森・公園などリラックス環境を選び、時間を小分けに積み上げる |
| ランニング | 長時間・中強度を続けた直後 | コルチゾール上昇、炎症性浮腫、グリコーゲン+水分3,6 | 低強度中心+短時間HIITに分け、リカバリー栄養と睡眠を確保 |
| 水泳 | セッション後の強い空腹時 | 冷水で体温維持→食欲アップ、エネルギー赤字の埋め合わせ14 | 事前に軽い糖質+タンパク質を摂り、後半の過食を防ぐ |
| 登山・ハイキング | 遠征後〜帰宅後しばらく | 高所で筋肉が落ち代謝が低下、帰宅後の食欲リバウンドで脂肪がつきやすい10,11,12 | 山中では十分な炭水化物とタンパク質を摂り、帰宅後もいきなり「ご褒美食」を増やしすぎない |
| サイクリング | 補給が多すぎたとき | 機械効率が高く消費が少なめ+糖質補給過多 | 補給量を計画し、週2回の筋トレ・階段で骨と筋へ刺激 |
見方: ここでの「増える」は短期の体重計の数字。脂肪そのものはゆっくりしか変わりません。体脂肪率とウエストで評価しましょう。
1. なぜ消費カロリーが増えないのか(制約モデル)
デューク大学のハーマン・ポンツァー博士が示した「制約されたエネルギー消費モデル(Constrained TEE)」では、活動量を増やしても一定ラインで総消費が頭打ちになります1,2,13。身体は基礎代謝や免疫・生殖を抑えて帳尻を合わせ、省エネ化してしまいます。
| モデル | 活動量とTEEの関係 | 身体の適応 |
|---|---|---|
| 相加的モデル | 活動量に比例してTEEが直線的に増加。 | 高活動域での頭打ちや省エネ適応を説明できない。 |
| 制約モデル | 低〜中強度ではTEEが上がるが、高活動域で頭打ち。 | 基礎代謝・免疫・生殖を抑えてエネルギーを節約する。 |
節約されるプロセス
- 基礎代謝率を落とす(細胞の燃焼ペースを低下)。
- 免疫や抗体づくりを抑える。
- 性ホルモン産生を抑制(無月経・テストステロン低下)。
- ストレス反応の感度を変える(HPA軸)。
- NEAT(無意識の活動)を減らす。
フィールドデータ
狩猟採集民ハウザ族は非常に活動的でもTEEは座位中心の欧米人とほぼ同じ1。身体には「消費の天井」があり、飢餓に備える進化的戦略と考えられます。
減量中のエネルギー不足では省エネ化がさらに強まり、長時間運動ほど代謝が落ちやすくなります。
2. コルチゾールと「偽の脂肪蓄積」
ストレス反応
VO2maxの60〜80%強度を長く続けるとコルチゾールが上昇3。短期はエネルギー供給に役立ちますが、回復不足で慢性化すると筋分解と内臓脂肪蓄積に傾きます。
お腹に脂肪がつきやすい理由
腹部内臓脂肪はコルチゾール受容体が多く血流も豊富。コルチゾールが脂肪合成酵素を動かし、中心性肥満になりやすくします4。
急性 vs 慢性
単発の上昇は運動後に自然に収束し「良いストレス」。睡眠不足・低カロリー・連日の長時間走で基礎値が高止まりすると「悪いストレス」に変わり、筋萎縮と脂肪保持を招きます。
オーバートレーニングの罠
EROS研究では、トレーニング量は高いのにエネルギーとタンパク質が足りないアスリートほど、内臓脂肪の増加・筋量低下・代謝低下が見られました。走行距離だけでなく、週1〜2日の完全休養と十分な補給が必須です。
コルチゾールは不可欠な防御ホルモンですが、慢性化させないために強度調整・睡眠・栄養リカバリーをセットで管理しましょう。
3. 代償性摂食:走った分だけ食べたくなる
食欲の揺らぎ
高強度直後は血流が消化管から筋へ移り、アシル化グレリンが下がって一時的に食欲が落ちます。数時間後に「取り戻そう」とする食欲ドライブが強く出ます14。
種目の違い
- ランニング:直後は抑制、数時間後に強い空腹。
- 水泳:冷水で体温を奪われ食欲が増しやすい。
- ウォーキング:激しい空腹ホルモンが出にくく安定。
ポイント: 運動後のリカバリーミール(糖質+タンパク質)を用意し、「運動したから食べてもOK」の心理と生理をコントロール。フィットネストラッカーの消費カロリーは過大になりがちなので鵜呑みにしない。
4. 体重が増えた正体は「水」
炎症性浮腫
着地衝撃や遠心性収縮で筋線維にマイクロトラウマが生まれ、修復のため水分が集まります。体重計が上がる主因はこの水分です6。
グリコーゲンと結合水
トレーニング適応で筋グリコーゲンの貯蔵量が増えると、1gあたり約3gの水分と結合して蓄えられます。パフォーマンスに有益ですが、数字は一時的に増えます6,7。
これは「機能的な体重増」で脂肪ではありません。炎症が引き、グリコーゲンが安定すれば数字は戻ります。
5. 散歩と登山:同じ「歩く」でも別物
散歩・森林浴
森林浴ウォーキングは唾液コルチゾールを下げると報告され、ストレスホルモンを抑えて脂肪が燃えやすい環境をつくります8,9。
登山・高所
高地では低酸素ストレスで脂肪より先に筋肉が削られやすく、食欲も落ちがちです10,11。一方で顔や手足は浮腫(むくみ)でパンパンになり、「太ったように見える」ことがありますが、実際には筋肉減少と水分が主因です10,11,12。
コツ: 散歩は「気持ちよく続ける」を最優先。登山は徐々に高度順応し、山中ではしっかり炭水化物+タンパク質を入れて筋肉を守り、下山後も急激な過食で「リバウンド脂肪」を作らないように意識しましょう。
6. 痩せているのにお腹だけ出る体型のメカニズム
痩せているのにお腹だけ出る体型とは?
BMIは普通なのに筋肉量が少なく、内臓脂肪が多い状態です。いわゆる「隠れ肥満(痩せ型肥満)」とも呼ばれ、長時間有酸素+低エネルギー+筋トレ不足が重なると、こうした体型になりやすくなります10,27。
何が起きているか
- 慢性的なコルチゾールと低エネルギーで筋肉が分解されやすい。
- 内臓脂肪はコルチゾールやストレスに敏感で、脂肪が「ロック」されやすい3,6。
- ポンツァーの「制約モデル」により、思ったほどカロリー赤字が作れず、食べ過ぎると脂肪だけが増えやすい1,16。
典型的なパターン: 中強度の有酸素をたくさんこなすが、タンパク質と総カロリーが少なめで、筋トレもあまりしない中級ランナー/登山者。走るほど体重は落ちるのに、お腹だけ残りやすい層です。
7. 失敗しないための実践リスト
強弱ミックス
週の80%を低強度ウォーク・スロージョグ、20%を短時間HIITや坂ダッシュに。
リカバリー栄養
運動後30〜60分に糖質+タンパク質でグリコーゲンと筋修復を促し、コルチゾールを収束。
NEAT維持
スタンディングデスクやこまめな移動で「運動外の23時間」の活動量を落とさない。
睡眠とストレスケア
7〜9時間の睡眠と就寝前のストレッチ・入浴でHPA軸をリセット。
モニタリング
体脂肪率・ウエスト・心拍とペースの関係で進捗を確認。短期の体重変動(水分)は気にしない。
8. まとめ:有酸素で「太る」を防ぐ
有酸素運動そのものが脂肪を増やすわけではなく、省エネ化と水分が「数字のマジック」を起こします。本当に体脂肪が増えるのは、慢性的なストレス+低エネルギー+筋トレ不足+食欲リバウンドが重なったとき。低強度中心+短時間高強度、NEAT維持、計画的な栄養と睡眠、週2回の筋トレ、そして指標を体脂肪率・ウエストに置くこと。これで数字に振り回されず、筋肉を守りながら脂肪を減らすサイクルを作れます。
参考文献・主な出典
- Constrained Total Energy Expenditure and Metabolic Adaptation to Physical Activity in Adult Humans – PubMed
- Constrained Total Energy Expenditure and the Evolutionary Biology of Energy Balance – Paulo Gentil
- Cortisol rises during intense workouts. Is that really a bad thing? – National Geographic
- Stress may cause excess abdominal fat – Yale University
- A comparison of the metabolic effects of treadmill and wheel running exercise in mouse model – PMC
- Gaining Weight After Working Out? Here’s Why – Cleveland Clinic
- Why You Might Be Gaining Weight After Working Out – Verywell Fit
- Combined effect of environment and walking on salivary cortisol – ResearchGate
- The Effects of Physical Exercise on Saliva Composition: A Comprehensive Review – PMC
- Metabolic basis to Sherpa altitude adaptation – PNAS
- The Physiology of High-Altitude Exposure – NCBI
- Fluid Metabolism at High Altitudes – NCBI
- Dr. Herman Pontzer: How We Really Burn Calories & Lose Weight
- Appetite, appetite hormone and energy intake responses to aerobic exercise – PubMed
- Persistent metabolic adaptation 6 years after The Biggest Loser competition – PMC
- Novel insights of overtraining syndrome discovered from the EROS study
- Normal Weight Obesity: How to Manage a ‘Skinny Fat’ Body Composition – NASM Blog